これぞオヤジの生きる道、素晴らしき趣味の世界!
お茶好きの人には趣味人が多いのです。Mr.ITOという中国語関係の先生で、書道、篆刻もこなし、ジャンボ瓢箪の会会員と多芸多才の方が来て、広州に行ったらこんなのを見つけて欲しいと図版のコピーを渡されました。それにはコオロギを飼う色々な道具が載っていました。
私たちにとっては初めて見るものばかりで、何でもある広州でもそんなものには出あったことがありません。とはいえそんな趣味の物には興味津々で、どこへ行けばよいのか見当もつきませんでしたが、いっちょう探してやろうじゃないかと、旅のサブテーマになりました。

2007年9月、8回目の広州行きで、ノースウエスト香港便を使って香港から広州へ入りました。まずはお茶の仕事をすませ、そして地鉄1号線・花地湾駅近くにある「花鳥魚市場」に行きました。ここは結構広いのですが、目ざすコオロギの道具らしきものはまったく見当たらず、コオロギは鳥の餌として売ってました(笑)。
考えあぐねた末に、いつもの古玩店の主人に相談すると、それは流花湖公園に鳥好きが集まるマーケットあるので、そこに行けば何かあるかも知れないと…。やはり知らない土地で頼りになるのはこうした友人です。まあ、顔見知りで広州に行く度に店に行きますから、親しい友人といえるでしょうが、言葉はまったく通じず筆談で意思の疎通をしております。
翌日は朝食を早めにすませ、タクシーで流花湖公園に行きました。いや〜いますね、鳥好きな人々が。この日は土曜日でしたからこのように集まるのでしょう。

流花湖公園は湖を中心に、その廻りに色んな施設があります。この日は気温34℃、湿度74%と暑い日でしたが、このように木陰が陽射しを遮ってくれて気持ちいいのです。

とにかく皆さん愛鳥とともにここにやって来ては、日頃のキツイ仕事なんて忘れて鳥談義に花を咲かせており、籠を持つ手にその歳月が現れているように見えるのは私だけでしょうか。上下の関係もなく、趣味を通して男と男が純粋に語り合う、なんて羨ましい生活でしょう。



マーケットの中の1階は、ワイヤー製の鳥カゴを主体にして水呑みや止り木など細々とした飼育用品を揃えた入門者用の店と、色々な鳥類自体とエサを並べている店などで構成されていました。そして2階へ上がると上級者用の鳥カゴを並べている所や、鳥カゴ本体をオーダーメイドできる店、その修理、高級な骨製の用具の店かどがありました。ここまで飼育のための周辺を固めてくれるなら、私もハマってみたいと本気で思いました。

この店主の風格たるや、一途な人生を歩み現在ここにこうしている事にこれっぽっちの迷いもない…、この画像をみてそんな風に感じるほど味が出ています。鳥類の飼育にかけては、どんな悩みにも答えられるベテランなんでしょう。
とんでもないオヤジ達の現場に遭遇する
2階の一角に空き店舗となったところがあり、そこで男たちがたむろして何か熱心にやっています。デジカメを向けたら、もっとこっちに来て撮れやというように言葉と身振りでいいます。一見すればヤクザな連中にしか見えないのに、いや〜旅行者にやさしいですね。
そこでは闘蟋(とうしつ)というコオロギ相撲をやっており、なおかつ現金が交わされているという、とんでもない現場に出くわしたのです。

まだ昼飯には時間があるような真っ昼間に、裸電球を真ん中にしてこの熱心さ。

勝負が決まったのか現金を支払っています。上半身裸のオヤジもいて、まるで広東ヤクザ映画の撮影現場みたいでしょ。

さて次の勝負のためにコオロギが入れられました。

2匹が勝負をしている間に、左上では次の出番のコオロギを興奮させています。

このように相手を倒すまで戦います。
こうして決して出合うことのない闘蟋を見る機会に接し、本当に旅の面白さや楽しさを味わいました。大体闘蟋なんて中国でも上海より北の方でしかやらない習慣なのです。広州のように亜熱帯では、コオロギも手に入れにくいのではと思います。
ここ広州はこうして趣味に生きる男たちがいるのでしょう。その証拠にコオロギの水飲み皿を、景徳鎮の手描きで作った一級品を売っている店もありました。この店のお茶道具なんてとても手が出る金額ではなかったのです。


